白内障手術
エイトチョップ法
エイトチョップ法
私は2002年に水晶体核を4分割のみであったプレチョップ法を改良し、常に8分割まで行うエイトチョップ法を開発し、2009年に日本眼科手術学会で報告しました。また、エイトチョッパーI、エイトチョッパーII、ランスチョッパーなど、より繊細で、鋭利な先端をもつ専用のチョッパーを開発しました。
プレチョップ法は、当初、多くの白内障術者に注目されましたが、その合併症の多さに殆どの術者が習得を諦めています。しかし、エイトチョップ法では安全性を最優先した手術方法に変更しました。まず、水晶体前嚢の切開を直径6mm以上として、超音波乳化吸引時の水晶体核と水晶体嚢の摩擦を軽減しました。また、水晶体核の吸引自体が安全になりました。さらに、ハイドロダイセクションを行う場合、チン氏帯へのストレスを最小限にしています。
エイトチョップ法では、両手で手術機械を操作できるという利点を生かして繊細な水晶体核分割を行うことが可能です。超音波乳化吸引時にも、超音波チップを両手で操作できるため繊細な水晶体核片の吸引を行うことが可能です。超音波チップは後嚢と角膜内皮から安全な距離を保ち、瞳孔の中心付近での操作とし、水晶体嚢の損傷を最小限にすることが可能です。
エイトチョップ法は水晶体核の分割と超音波乳化吸引術を分離して行う術式ですので、それぞれの手技に集中することが可能です。ディバイドアンドコンカー法、フェイコチョップ法などのように水晶体核の分割と超音波乳化吸引術を同時に行う術式では、それぞれの手技の精度が低下することが考えられます。一つの手技に集中すれば、確実に水晶体核の分割、超音波乳化吸引を行うことが可能です。
超音波白内障手術は、一手法からディバイドアンドコンカー法、フェイコチョップ法、プレチョップ法へと進歩してきました。しかし、フェイコチョップ法、プレチョップ法は難しいため、アメリカ合衆国および日本でも、その技術をもつ医師は少数です。したがって、エイトチョップ法は白内障手術のまさに第五世代と言える手術方法です。
アメリカ合衆国では、David Chang医師がディバイドアンドコンカー法からフェイコチョップ法への移行を強く推奨しています。私は、フェイコチョップ法から2歩進んだ、第五世代の白内障手術、エイトチョップ法で全ての白内障手術を行っています。
白内障手術
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エイトチョップ法
私は2002年に水晶体核を4分割のみであったプレチョップ法を改良し、常に8分割まで行うエイトチョップ法を開発し、2008年に日本眼科手術学会で報告しました。また、エイトチョッパーI、エイトチョッパーII、ランスチョッパーなど、より繊細で、鋭利な先端をもつ専用のチョッパーを開発しました。
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ランスチョップ法
水晶体核が硬く、エイトチョッパーでは分割できない場合は、サステイナーとランスチョッパーを用いて水晶体核を8分割しますが、これをランスチョップ法と命名しました。
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エイトチョッパーⅠ(ASICO SP-8193、写真A)
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エイトチョッパーⅡ(ASICO SP-8402、写真B)
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ランスチョッパー(ASICO SP-9989、写真C)