健康診断や人間ドックで眼底検査をうけた結果、『視神経乳頭陥凹拡大』を指摘され、眼科で精密検査を受けるよう勧められた方もいると思います。
なんだか聞きなれない漢字が並び何のことやら?と思うかもしれません。(読み方は『ししんけいにゅうとうかんおうかくだい』です。)

目の奥、網膜に視神経乳頭と言う部分があります。ここは網膜に巡っている血管や神経線維が集まって一束になっています。もともとの形状として凹んでいる(陥凹している)事が多く、その凹みの大きさは個人差があります。つまり視神経乳頭陥凹拡大はその凹みの大きさが正常範囲を超えている状態ということです。
では陥凹が拡大していると何が考えられるのか?それは『緑内障』です。
緑内障の診断は
①眼底検査:視神経乳頭の陥凹の大きさを確認します。陥凹が70%以上の場合は緑内障の可能性があります。90%以上あれば、緑内障と診断されます。


②視野検査:視神経乳頭陥凹が70%以上の場合に行い、視神経乳頭形状や視神経繊維層欠損に対応する視野異常があれば緑内障と診断されます。
③上記以外でも、視神経乳頭陥凹の左右差、視神経リム(視神経乳頭の非陥凹部)の状態によっても緑内障と診断され視野検査が必要な場合があります。
当院ではTOPCON製の3次元眼底像撮影装置を用いて、視神経乳頭部の形状解析も行っており的確な緑内障診断につなげています。

緑内障と診断された場合の治療は、当ホームページの『緑内障について』をご参照ください。
では視野検査で異常がなければ、もう安心でしょうか?
『緑内障』は年齢とともに発症率が高くなる病気です。視野検査で異常がないと眼科から足が遠のきがちです。しかし数年後に見えづらい・視野が欠けていると気がついた時には、すでに緑内障が進行している場合がほとんどです。欠けた視野は治療を始めても元に戻ることはありません。
そうならないためにも、視神経乳頭陥凹拡大が確認された場合は、視野異常がなくても年に1回の視野検査が必要です。早期発見・早期治療は緑内障の進行を抑えるためにとても重要なのです。

視神経乳頭陥凹拡大がある場合、生活上で注意する事やしてはいけないことはありますか?と患者さんに質問されます。もともとの目の性質によるものなので、生活上の注意で元に戻ったり、拡大を防げたりする訳ではありません。
『視神経乳頭陥凹拡大』を指摘された方は緑内障の条件を1つ持っているということ念頭に置き、【眼科で年1回の視野検査を受ける】を忘れないでください!
緑内障・白内障・網膜疾患の治療について詳しく説明しています。