白内障について
白内障とは、レンズの役割をしている水晶体が濁ってきて、クリアだった視界が霞み、見えにくくなる病気です。
この病気のほとんどが加齢によって起こる老化現象で、瞳孔を開く検査(散瞳検査)をすると、自覚症状がない人でも、早い人では60歳代から白内障の混濁がみられることがあり、70歳代になるとほぼ100%の人で白内障が見つかります。
40代半ばぐらいになると、大概の人は老眼の症状を感じるようになります
正常な水晶体は透明で、水晶体は弾力性があるため、自由にピントを合わせることができます。ところが、水晶体が老化してくると、少しずつ水晶体の弾力性が失われ、ピントを合わせる調節力が弱まり、40代半ばぐらいになると、ほとんどの人は近くの文字が見にくい老眼の症状を感じるようになります。
さらに症状が進行して、水晶体が硬くなり濁ってくると白内障となるのです。
つまり、白内障は、水晶体の老化現象の最終段階と言えるでしょう。
正常眼と白内障眼
目の構造
眼球は、角膜、虹彩、水晶体、硝子体、網膜、網膜色素上皮、脈絡膜、強膜で構成され、外側から強膜、脈絡膜、網膜の3枚の膜でできた直径約24㎜、重さは7g程のボールのような器官です。
角膜
黒目の透明な膜のことを言い、角膜の後ろは房水で満たされています。
角膜に混濁がある場合
白内障手術が難しくなります。
虹彩
虹彩は、前房の後ろの角膜と水晶体の間にあり、虹彩の後ろは房水で満たされています。中央部分が瞳孔で、暗いと広がり、明るいと縮み、目の中に入る光の量を調節しています。
房水は、透明な液体で眼圧を一定に維持する他、角膜や水晶体に栄養を運び、それぞれから老廃物を運び出す役割も担っています。
散瞳(瞳孔が広がった状態)が不良な目
白内障手術が難しくなります。
水晶体
水晶体は、両面が膨らんだ凸型レンズの形をしています。
外側が水晶体囊(前面が前囊、後面が後囊)という非常に薄い膜でできていて、その中に水晶体皮質、水晶体核があります。白内障手術時、水晶体囊の後囊と前囊の一部は残し、囊内に眼内レンズを移植します。
水晶体核が硬い場合、水晶体囊が脆弱な場合
白内障手術が大変難しくなります。
チン氏帯
チン氏帯は、虹彩の後ろにある無数の繊維のことで、水晶体を支えています。
チン氏帯が脆弱な場合
白内障手術が大変難しくなります。
硝子体
硝子体は、眼球の大部分を占め、水晶体の後ろにある透明な卵の白身のようなものです。老化により、収縮すると網膜から剝離し飛蚊症の原因になります。また、収縮する時に網膜を牽引して網膜裂孔や網膜剝離を起こすことがあります。
網膜
視力を左右する重要な組織で、網膜は、神経細胞、視細胞、神経線維で構成され、網膜血管が広がっています。網膜の中心を黄斑と呼び、加齢黄斑変性、糖尿病黄斑症などの病気は、この黄斑が障害されて視力低下が起きます。
白内障の原因
白内障の症状
白内障はほとんどの場合ゆっくりと進行します。そのため、見え方に変化が生じても
慣れてしまい、すぐには気付かないことがよくあります。
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左右の目で発症する時期が異なると、片方が見えにくくなっても、もう片方で補い、気付きにくいこともあります。
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症状が進行するにつれて、様々な自覚症状が現れます。
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さらに混濁が水晶体全体を覆い、視界が曇り視力も低下してきます。
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そのまま放置すると、ほとんど視力がなくなる過熟白内障になることもあります。
白内障発症時の見え方
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目が霞む、ぼやけて見える
白内障の症状でも最も多く現れる症状です。水晶体の濁りのために、物が霞んで見えます。
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暗くなると見えにくい
水晶体混濁のために眼内に入射する光の量が減少し、暗く見にくく感じます。
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細かい文字が読みにくい
水晶体の濁りが進むと視力が低下して、細かい文字が見えにくくなります。老眼は眼鏡をかけると改善しますが、白内障の場合は、眼鏡をかけても見えにくさは改善されません。
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物がダブって見える
水晶体が濁り、中心部の核と周辺との屈折率が違ってくるために起こる症状です。眼鏡をかけても、パソコンなどの画面上の数字のうち、6と8など類似した形の数字の区別が難しくなる、月が二重、三重に見える場合は、白内障が疑われます。
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まぶしく感じる
水晶体の濁りが目に入った光を乱反射させてまぶしく感じます。特に逆光の時は見えにくく、夜間運転の時、対向車のライトがまぶしく見えづらい、明るいほうから歩いて来る 人の顔が見えないなどの症状があります。
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近くが良く見えるようになる
水晶体の核が硬くなると、屈折率が増して近くが良く見えるようになります。但し、
これは一時的な現象で、白内障がさらに進むと、視力は低下してきます。今まで読めなかった細かい字が裸眼で読めるようになり、老眼が治ったかなと思った時は要注意です。
白内障の種類
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皮質白内障
水晶体周辺部の皮質から濁るタイプで、白内障と診断される多くがこの皮質白内障です。初期には症状に気付きにくいですが、濁りが広がると、まぶしく感じたり霞んできたりします。加齢による白内障に多いタイプで、進行はゆっくり、濁りが中心部に達するまでには何年もかかります。
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核白内障
水晶体の中央部、核の部分から硬くなり濁るタイプで、加齢性白内障、強い近視がある方に発症しやすい傾向があります。核が硬くなると屈折率が高くなって、近視の方は近視が強くなり、老眼の方は近くが見えやすくなります。物が二重に見えることもあり、その後、目が霞むようになります。
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後嚢下白内障
水晶体を包んでいる囊の後ろの部分が濁ってくるタイプです。視力の低下の進行が早く、中心部から濁りが生じてくるため、初期の段階から症状が現れやすく、明るい場所でまぶしく感じたりします。
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前嚢下白内障
水晶体を包んでいる囊の前の部分の中央から濁るタイプです。早い段階から明るい場所で見えにくくなる症状が現れます。若年性白内障によく見られるタイプです。
白内障の点眼治療
通常の白内障の原因は、老化現象ですので、加齢を止める薬がないのと同じように、白内障を改善させたり、進行を抑える薬はありません。
患者さんの中には、白内障の点眼薬をもらっている方もいるかもしれませんが、白内障の臨床研究で点眼薬が治療として有効だったという英文の医学論文はありません。
アメリカ合衆国やヨーロッパ諸国では、白内障の治療薬として点眼薬は使用されておりません。また、日本でも、2003年に、厚生労働省の「科学的根拠に基づく白内障診療ガイド ラインの策定に関する研究班」が「白内障薬の効果について過去の臨床試験データを今日の基準で検討したところ、有効性が十分証明されているとは言えない」という報告をしています。
しかし、科学的根拠がないにも関わらず、日本では、白内障の治療薬は認可されており、開業医のほとんどで処方されております。
一方、科学的根拠に基づく治療を行う大学病院で白内障の治療薬を処方されることはありません。
当然、当院でも白内障治療薬の処方はしておりません。
診療受付 / 8:30 - 11:30・初診受付 / 8:30 - 11:00
休診日 / 木曜・土曜午後・日曜・祝日
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
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午前 | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ |
午後 | 手術 | 手術 | 予約 | × | 手術 | × |
- 眼底検査後は4~5時間見えづらくなります。
車の運転ができなくなりますので、車での来院はお控えください。 - 駐車場をご利用の場合、クリニック周辺の有料駐車場をご利用ください。
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水曜日の午後の予約に関して 受診後の「予約専用」となります。初診の患者様は、午前中に受診頂くようお願い致します。
※初診の方は、検査時間がかかるため11時までの受付となります。 -
午前の予約に関して 「検査・処置」の場合に限りお時間のご指定が可能です。お電話にてお問合せください。
※予約があっても診察は受付順となるため、お時間がかかってしまう場合がございます。 -
その他 小児眼科は専門外のため受付ておりません。
コンタクトレンズの処方は行っておりません。