硝子体手術について
当院での硝子体手術は、全て日帰り手術で行っております。
白内障手術と硝子体手術を行える眼科医は、非常に少ないのが現状です。
硝子体手術には非常に高度な技術と多くの経験が要求されます。ほとんどの眼科医は硝子体手術を行いません。白内障手術の専門家のほとんども硝子体手術は行いません。硝子体手術専門医は白内障手術も行いますが、その白内障手術は、白内障専門医と比較すると白内障専門医の方が優れています。
当院では、「白内障手術」も「硝子体手術」も可能で、非常に良い手術成績をおさめています。
エイトチョップ法を用いた白内障手術は、安全性に優れた手術です。また、硝子体手術を慎重かつ丁寧に行うことで、手術中に網膜裂孔、網膜剥離の発生を最小限にしています。そのため、術後の安静をあまり必要としない硝子体手術が可能です。従って、入院治療ではなく、日帰りで手術を行っております。しかし、術後に入院による安静が必要と判断した場合は、専門医に紹介します。
糖尿病網膜症の専門医
研修医時代、多くの患者さんが糖尿病網膜症により失明していました。
そのために、「糖尿病網膜症を治療できる医師」になることを目指しました。
硝子体手術で網膜を治療するためには、まず濁った水晶体を取り除く白内障手術が必要です。また、糖尿病網膜症が重症化し、血管新生緑内障が発症した場合には緑内障手術が必要になります。
糖尿病網膜症の治療には、「硝子体手術」の他に「白内障手術」「緑内障手術」が求められます。
硝子体手術の流れ
当院では、硝子体手術でも入院することなく日帰り手術で行っています。
通常、硝子体手術は、すでに白内障の手術を受けている方を除き、白内障手術と同時に行います。
白内障の手術を行う目的
- 白内障があると手術中に網膜を見ることが困難になり硝子体手術が難しくなるためです。
- 水晶体を残して硝子体手術を行うと、網膜の周辺部にある硝子体を切除することが難しいためです。
- 50才以上の方は、水晶体を残しても数か月から数年後に白内障を発症する可能性が高いことが研究で明らかになっています。そこで、予防的に白内障を手術して、将来の白内障手術を避ける効果もあります。
- 硝子体手術後に発症した白内障の手術は、通常の白内障と比較すると合併症を発症する可能性が少し高くなります。
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手術前の準備 手術の2時間前
瞳を開く目薬をつけていただき、前方から水晶体が広く見えるような状態にして、来院していただきます。
手術時間の30分前
病院に来ていただき、瞳の状態を確認し、ガウンに着替えていただきます。
麻酔薬を点眼します。 -
手術の開始 白内障手術開始(白内障手術が手術前に行われていない場合)
手術室に入ったら手術用のベッドに横になっていただきます。
消毒液で目の表面を消毒し、清潔な布で顔を覆います。
開瞼器という瞼を大きく開く器械を置き、顕微鏡で目を観察しながら白内障手術を行います。硝子体手術開始
球後麻酔
眼球の後ろまで届く針で麻酔液を注入し、眼球全体が痛みを感じない状態にします。
※麻酔はかなり痛いですが、10秒程で終わります。少しの間動かずに我慢していただきます。3か所の傷を作ります。
- ★1つ目:術中に眼球の形状を保つための灌流液を眼内に流す。
- ★2つ目:眼内を照らす照明を入れる。
- ★3つ目:硝子体を切除するためのカッターや攝子などの手術器械を入れる。
硝子体の切除
最初に硝子体を注意深く切除します。
目の状態、病気の種類により色々な操作を行います。網膜の上に増殖膜がある場合
増殖膜を特殊なハサミで切除します。
網膜に孔があり、網膜が剝がれている場合
眼内に空気を入れて網膜を正常な位置に戻し、網膜の孔の周りを光凝固して、再び網膜が剥離しないようにします。
糖尿病網膜症の場合
網膜光凝固術を追加します。
これらは目の状態に合わせて、手術操作を組み合わせて手術は行われます。
そのため手術時間は、目の状態により40分から3時間程度と様々です。眼内レンズの移植
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手術の終了 手術終了
眼帯をして終了となります。
少し休憩いただき、気分が悪くなければご帰宅していただきます。
眼帯は、翌日の診察まで取らないでください。
術後の注意
帰宅後はなるべく安静にしていただきます。
「術後1週間は、目を押したり、擦ったりすることは避け、不潔にならないように注意してください。」
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眼内に気体が入っている場合 3~10日間、食事・トイレ以外は、うつ向きの姿勢を保っていただきます。
- うつ伏せ専用枕を貸し出します。
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手術当日帰宅後 手術後の出血を防ぐために、眼球の圧を高くしている影響で、痛みがあります。
【飲み薬】鎮痛薬・抗生物質・胃薬の処方をします。
鎮痛薬を2回分処方しています。
痛みが我慢できる場合はなるべく1回だけ、痛みが続く場合は3時間後に2回目を飲んでいただきます。
飲み薬は、他に抗生物質と胃薬の2種類を3日分処方しています。
忘れずに飲むようにしてください。【目薬】の処方をします。
眼帯が必要なくなってから始めていただき、下記の目薬を1日4回点眼していただきます。
- 炎症を抑える目薬(0.1%サンベタゾン)
- 細菌を殺す目薬(レボフロキサシン)
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必要な場合は、瞳を開く目薬(ミドリンP)を使用します。
朝10分毎に3回つけていただき、手術後7〜14日で目薬は変更になります。
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入浴・洗髪・洗顔について 術後1週間
手術の翌日から入浴可能です。
※洗髪、洗顔は1週間避けてください。術後1週間後
目をよく閉じ、なるべく目に水が入らないようにして、通常の洗髪、洗顔をしていただけます。
当院の硝子体手術
硝子体手術でも小切開で手術が行われるようになり、結膜創、強膜創が縫合されない硝子体手術が多くなっています。しかし、当院では、術後感染症の危険を増すような方法で手術は行うべきではないと考えています。
結膜・強膜を縫合しなければ、傷は瘢痕を残さずに治癒しますが、そのために、術後感染症の危険性が増します。
当院の手術では、結膜を剝がし、強膜の傷を必ず縫合して、結膜で再び強膜の傷を覆っています。
これは、術後の眼内炎を最小限に抑えるためです。
「術後の網膜剥離などの合併症を最低限に抑えるよう努めています。」
難治症例では、重要視される周辺部網膜の術中観察、光凝固、最周辺部の硝子体切除などをすべての症例で行っています。
※私(佐藤剛)は、「カリパー付き強膜圧迫子」を開発いたしました。周辺部網膜及び、硝子体の処理に威力を発揮します。
カリパー付き強膜圧迫子については、こちら
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灌流液を流す管を装着(左上)。
左側の創から眼内照明装置を挿入。
右側の創から硝子体カッターを挿入。
眼内を観察するために眼球に硝子体レンズを置きます。 -
強膜圧迫による最周辺部網膜に対する網膜光凝固術を行っています。カリパー付き強膜圧迫子により確認が必要な網膜を自在に可視化できます。
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全範囲で、強膜圧迫による硝子体切除を行います。
必要な場合は、網膜光凝固術を行います。 -
全ての切開創の縫合、結膜で被覆します。
眼球が虚脱することや、術後眼球内に細菌が侵入する可能性がなくなります。
カリパー付き強膜圧迫子
20ゲージ(径0.9㎜)硝子体手術から 、23,25ゲージと小切開硝子体手術へと移行しつつある現在も
依然として周辺部硝子体切除、周辺部網膜の観察は重要です。
これまでの様々考案された強膜圧迫子の欠点
- 圧迫子の先端部の長さが短い。
- 圧迫方向と実際の圧迫部位が
一致せず操作が難しい。
確実な周辺部操作を目指した新しい「カリパー付き強膜圧迫子」
カリパー付き強膜圧迫子により、広範囲に強膜の圧迫が可能になり、硝子体切除、網膜光凝固が容易になりました。
圧迫子の柄を押した場合、圧迫部位にずれがなく、安全に硝子体切除、網膜光凝固を連続して行うことも可能です。
さらにカリパーが付属しているため、強膜創を簡単に作成できます。
- 先端部の長さ10㎜としました。
- 十分な広さで強膜を圧迫できるように改良しました。
- 圧迫子の柄の延長線が先端部の中央を通り、柄と先端部が垂直となるように改良しました。
- 反対側にカリパーを付属させました。
診療受付 / 8:30 - 11:30・初診受付 / 8:30 - 11:00
休診日 / 木曜・土曜午後・日曜・祝日
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
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午前 | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ |
午後 | 手術 | 手術 | 予約 | × | 手術 | × |
- 眼底検査後は4~5時間見えづらくなります。
車の運転ができなくなりますので、車での来院はお控えください。 - 駐車場をご利用の場合、クリニック周辺の有料駐車場をご利用ください。
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水曜日の午後の予約に関して 受診後の「予約専用」となります。初診の患者様は、午前中に受診頂くようお願い致します。
※初診の方は、検査時間がかかるため11時までの受付となります。 -
午前の予約に関して 「検査・処置」の場合に限りお時間のご指定が可能です。お電話にてお問合せください。
※予約があっても診察は受付順となるため、お時間がかかってしまう場合がございます。 -
その他 小児眼科は専門外のため受付ておりません。
コンタクトレンズの処方は行っておりません。