「最近、親の目がかなり見えにくそう…」
「もう90歳を過ぎているし、今さら手術なんて無理かしら」
当院を受診される患者さんやご家族から、このようなご相談をよくいただきます。
日本老年学会では、65~74歳を准高齢者、75~89歳を高齢者、90歳以上を超高齢者と提言しています。当院でも「超高齢者」と呼ばれる患者さんの受診が増えています。
多くの方が「年齢」を理由に治療を諦めかけていますが、実は白内障手術に年齢制限はありません。
今回は、当院での手術実績や、実際に視力を取り戻した患者さんの事例をご紹介します。
数字で見る:当院の90歳以上の白内障手術実績
「本当に90代で手術ができるの?」と思われるかもしれませんが、当院では毎年多くの方が手術を受け、光を取り戻されています。
| 白内障手術総数 | 90歳以上の白内障手術 | 最高齢者 | |
| 2025年 | 664件 | 15件 | 93歳 |
| 2024年 | 653件 | 14件 | 97歳 |
| 2023年 | 773件 | 13件 | 93歳 |
| 2022年 | 855件 | 2件 | 91歳 |
| 2021年 | 641件 | 8件 | 94歳 |
(過去当院で白内障手術を受けた最高齢者は100歳です。)
事例紹介:手探り生活から一人歩きができるようになったAさんのケース
当院に通院されている90代・ひとり暮らしのAさんの事例です。
ご来院時の状態:
ご家族が視力低下を心配して連れて来られました。視力検査をしたところ、矯正視力は「0.2」(裸眼視力0.05)。眼鏡なしでは手探りの状態で、移動の際もご家族に手をつないでもらっている状態でした。
諦めかけていた理由:
以前、他の眼科を受診した際には「高齢だから」という理由で手術を勧められなかったそうです。「年齢だから仕方がない」「通院も大変だし…」と、ご本人も諦めてしまっていました。
特にひとり暮らしの高齢者の場合、不自由を我慢してしまい、ご家族が気づいたときには白内障がかなり進行しているケースが少なくありません。
なぜ、超高齢者の白内障手術は敬遠されやすいのか?
年齢を重ねるほど、白内障の手術は以下のような理由で難易度が格段に上がります。
1.水晶体(目のレンズ)が非常に硬くなっている
水晶体核の硬度が4~5度(1~5段階で数字が大きいほど硬い)では、水晶体を取り除くのが難しくなります。
2.水晶体を支える糸(チン氏帯)が弱くなっている
チン氏帯が断裂すると通常の白内障手術は困難となり、大掛かりな手術が必要となります。
3.体の変形や腰痛で、手術中に仰向けの姿勢を保つのが難しい
ベストポジションで手術をうけれないと、手術のリスクが高まります。
4.認知力の低下などにより、手術中に目や顔を動かしてしまう
白内障手術は局所麻酔で行うため、目や顔を動かさないよう患者さんにも協力してもらう必要があります。
そのため、一般的な眼科では手術をためらってしまうケースがあるのです。
難治症例の手術にも対応・エイトチョップ法

Aさんを診察すると水晶体核の硬度は両眼とも4度ととても硬い状態で、難しい手術になることが予想されました。こういった症例の場合、他院では嚢外摘出術(ECCE)や小切開白内障手術(SICS)が選択されますが、手術時間が30分~1時間と長くなり患者さんの負担も大きくなります。当院が実施しているエイトチョップ法は難治症例の手術も安全に行えるのが特徴です。
Aさんの手術は両眼とも12分程度で終わり、術後の視力も矯正視力0.8(裸眼視力0.5)と良好な回復をみせました。
「よく見えます!うれしいです!」とAさん・ご家族に大変喜んでもらえました。今では手をつなぐことなく、ひとりで歩いて診察室に入ってこられます。

白内障手術をあきらめないで!
『白内障手術に年齢制限はありますか?』と質問されれば『NO!』とお答えできます。しかし年齢が重なるにつれ白内障手術のリスクは上がっていきます。あまり我慢せずに眼科を受診され、適切な時期に手術を受けられることをおすすめします。
白内障・網膜疾患・緑内障の治療について詳しく説明しています。


