レーシック(LASIK)とは、角膜(黒目の表面)にエキシマレーザーをあてて、角膜のカーブを変えることで屈折を調整し、近視・遠視・乱視を矯正する手術です。
2000年に厚生労働省がエキシマレーザーによる屈折矯正手術を認可したことから普及し始め、2008年頃に手術件数がピークを迎えました。現在、その頃にレーシックを受けた方々が白内障になる年代になってきています。
レーシックを受けた目でも、もちろん白内障手術を安全に行うことは可能です。ただし、レーシックで角膜が調整されているため、通常の白内障手術とは少しだけ異なる注意点があります。ここでは、患者さんに知っておいていただきたいポイントをまとめました。
1.既往歴として、レーシックを受けたことを主治医に必ずお知らせください
理由は下記でも述べていますが、レーシックを受けた眼と何もしていない眼では治療方針が変わってきます。重要な情報となりますので、必ずお知らせください。
2.眼鏡なしの視力が“必ず”実現できるとは限りません
レーシックをすると角膜の形が変わるため、白内障手術で使う「眼内レンズの度数計算」が少し難しくなります。
そのため、手術の安全性は一般の方と同じでも、術後の見え方(ピントの合い方)の予測が少しブレやすい傾向があります。
最近は計算方法が大きく進歩して精度も上がっていますが、それでもレーシックをしていない目と比べると、
・予想より少し遠くにピントが合う
・逆に少し近くにピントが合う
といった“軽い誤差”が出ることがあります。
「完全な裸眼生活」が必ずしも保証できないという点だけ、あらかじめ理解しておくことが大切です。
3.ハロー・グレアなど「見え方の質」が変化しやすいことがあります
レーシック後の角膜は、中心が平たく、周りとの境目がはっきりしていることがあります。
その影響で、白内障手術のあとに
・夜の光がにじんで見える
・まぶしく感じる
・コントラスト(くっきり感)が弱い
といった“見え方の質”の問題が残ることがあります。
視力そのものは良くても、「なんとなく見づらい」と感じる場合があるのはこのためです。
4.ドライアイの症状が強くなる場合があります
レーシックを受けた方は、角膜の知覚(痛みや乾きを感じる神経)が弱くなっていることがあり、ドライアイが続きやすいと言われています。
この状態で白内障手術を受けると、
・角膜切開や点眼などの影響でさらに乾燥が強くなる
・術後の見え方が安定しにくくなる
といった可能性があります。
手術前後のドライアイ治療をしっかり行うことで改善が期待できますので、ご安心ください。
5.手術自体のリスクは一般の白内障手術と大きく変わりません
レーシックを受けたことによって、
・後嚢破損
・眼内炎
・黄斑浮腫
・網膜のトラブル
といった「白内障手術そのものの重大な合併症」が増える、という明確なデータはありません。
基本的には、一般の白内障手術と大きな違いはありませんのでご安心ください。
■ まとめ
レーシック後の白内障手術は、
・手術の安全性は一般とほぼ同じ
・ただし 度数計算・見え方の質・ドライアイ に注意が必要
という特徴があります。
当院ではこれらの点をふまえ、最新の計算式や検査機器を用いて、できるだけ誤差の少ないレンズ選択を行っています。
ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。
白内障・網膜疾患・緑内障の治療について詳しく説明しています。

