一般的に「視力が良い・悪い」と言うとき、私たちはどうしてもメガネをかけない「裸眼(らがん)視力」を気にしがちです。
しかし、私たち眼科医が医療の現場で最も重要視しているのは、実は裸眼視力ではなく「矯正(きょうせい)視力」、つまりメガネやコンタクトレンズをかけて焦点を合わせた状態の視力なのです。
なぜ裸眼視力はそれほど重要ではないのか? 矯正視力が悪いと何がわかるのでしょうか?
目の焦点をチェック:あなたの目はどのタイプ?
目は焦点がどこで合うかによって、大きく4つのタイプに分かれます。
①正視:遠く(視力検査では5m先)を見た時も近くを見たときも、メガネなどを使わずはっきり見ることができます。
②近視:焦点(はっきり見える場所)が近くにあり、遠くは見えませんが近くは見えます。近視が強ければ強いほどはっきり見える場所、つまり焦点は近くにあります。
③遠視:遠く(視力検査では5m先)を見た時でも、近くを見た時でも焦点が合わず、眼鏡をかけないと近くも遠くも見えにくくなります。常に目の筋肉を使って調節しないと見えにくいため、疲れ目の原因になります。
④乱視:眼球が正確な球体ではないので、縦方向と横方向の焦点にずれが生じて起こります。縦方向の眼球のカーブが小さいと、縦方向の焦点が近くになり、横方向の焦点が遠くになり焦点の位置がずれます。眼球の前後方向の大きさ、眼球の歪み具合により焦点の位置のズレは様々で、二重に見えたりブレたりします。
実は、近視・遠視・乱視は「目の病気」ではありません。メガネなどで焦点を網膜に正しく合わせてあげれば(=正視の状態にすれば)、誰もがしっかりと見えるようになります。
「裸眼で0.01」より恐い、「メガネをかけても0.7」
私たち眼科医が「裸眼視力」を指標にしない理由はここにあります。
近視や乱視が強ければ、裸眼視力は「0.01」といった低い数値になってしまうこともあります。しかし、メガネをかけて「1.0以上」の視力が出るのであれば、それは「健康で、しっかり機能している目」だと診断できます。
本当に注意しなければならないのは、「メガネやコンタクトで最大限にピントを合わせても、視力が上がらない(=矯正視力が悪い)」という状態です。

矯正視力が上がらないときに疑うこと
適切なレンズを入れても視界がクリアにならない場合、それは単なる焦点のズレ(近視など)ではなく、目の中に光を遮る濁りがあったり、光をキャッチする網膜やその情報を脳に送る視神経に病気があるサインです。
具体的には、以下のような「目の病気」が隠れている可能性を疑います。
・白内障:レンズの役割をする「水晶体」が白く濁り、光が通らなくなる病気
・緑内障:目で見た情報を脳に伝える視神経が傷つき、視野が狭くなっていく病気
・網膜疾患:カメラのフィルムにあたる「網膜」が出血したり、傷ついたりする病気(糖尿病網膜症や加齢黄斑変性など)
眼科での視力検査は、こうした重大な目の病気を見つけ出すための極めて重要なスクリーニング検査なのです。
だから、当院では「矯正視力」をお伝えしています
サトウ眼科クリニックでは、患者様に視力検査の結果をお知らせする際、裸眼視力ではなく「矯正視力」をお伝えしています。
それは、患者様の目が「病気によって見えづらくなっているのか」、それとも「焦点を合わせればきちんと見える状態なのか」を正しく把握し、安心して治療に臨んでいただきたいと考えているからです。
「最近、メガネを作り直してもどうも見えにくい」「かすんで見える」といった自覚症状がある方は、単なる視力低下(近視の進行)ではなく、目からのSOSかもしれません。大切な目の健康を守るために、ぜひ一度、正確な「矯正視力」の検査を受けにいらしてください。
白内障・網膜疾患・緑内障の治療について詳しく説明しています。


